2016年3月17日木曜日

【読書】お金は歴史で儲けなさい

「お金は歴史で儲けなさい / 加谷珪一」
を読みました。

かなり、おもしろい本でした。
簡単にまとめると

株価は上昇へ。
国債バブルは終焉へ。
インフレ傾向へ。
円安傾向へ。
石油価格は下落傾向へ。

ということでした。
これは実際読むべき優良な書籍だと考えます。
自分のためにまとめておきます。


過去130年間で、日本の株価は、約8000倍に上昇しました。
年間収益率に換算すると平均約7%ということになります。


過去130年における株価の動きは、
次に示す6つの大きな時代区分に分けて考えるとより明確になります。
それぞれが大きな超長期トレンドを形成しているからです。

A 日本経済黎明期(1880-1920年 約20年間x 2)
  新興国としての急成長

B 長期低迷期(1920-1945年 約25年間)
  恐慌→戦後インフレ→破綻

C 戦後高度成長期(1945-1960年 約15年間)

D 戦後停滞期(1960-1975年 約15年間)
  40年不況→オイルショック

E バブル経済期(1975-1990年 約15年間)
  内需拡大、金融国際化

F 長期低迷期(1990-現在 約25年間)
  デフレ、失われた20年


あくまで仮定の話ですが、
昭和初期とそっくりの日本経済が、
やはり当時と似たように推移するのであれば、
量的緩和策によって景気は何とか持ち直すものの、
インフレによって生活が苦しくなることが予想されます。



投資で重要なのは、株価より時間。
一旦勢いがついた相場はそう簡単に収束しない。
130年チャートで示した長期的トレンドを見れば、
ひとつの流れは15年から20年継続することがわかります。


経済は進歩しない。循環する。


インフレの時代において現金は禁物です。
何らかの形で物価の上昇をカバーするような商品に投資しておかないと、
何もしなくても、自身の資産を減らすことになってしまいます。


インフレが進んだ場合には、
借金をして土地を買った人が有利という図式は
今も昔も変わりません。


物価に比べて動きの鈍い株式の値動き


平均株価は終戦から4年の間に最大で約7倍に上昇しています。
現実的な物価上昇は、4年間で約5倍といったレベルであり、
これを基準にすれば、株式投資はインフレのヘッジに成功したことになります。
しかし、物価の動きと株価の動きを比較すると、
そこには大きなタイミングのズレが生じています。
株価の動きは物価に比べて遅いのです。


ドイツの記録を見ると、
ハイパーインフレが発生した場合には、
おおよそ以下のような順番で価格が上昇します。
①為替
②金
③物価
④不動産
⑤株価
インフレの激化が予想される時には、
まず為替でリスクをヘッジし、
自身の資産を保全した上で、
不動産や株価などで割安なものを発見した場合には、
そこに投資をするという方法が有効と考えられます。

「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」
というのはクラウゼヴィッツの「戦争論」における有名な一節です。
戦争は、あってはならないことなのですが、
その本質は通常の政治の延長上にあるという、
非常に冷徹な考え方です。



戦争が通常の政治の延長上であるならば、
通常の経済活動の延長上であると解釈することもできます。
実際、戦争は経済活動であり、
戦争によって株式市場も大きく動くことになります。

本気で長期的な投資を実践することを考えた場合、
戦争の問題を避けて通ることはできないでしょう。

日清戦争と日露戦争では
巨大な株価バブルが発生した。


太平洋戦争時には、経済の国家統制が行われた。
統制下の株式市場は思いのほか堅調に推移した。


それにしても、
太平洋戦争は、日本の歴史の中でも最悪といってよい出来事です。
国家予算の70倍という無謀な金額を投入し、
世界で唯一、しかも大都市に対して核攻撃を2発も受け、
無条件降伏するという形で戦争を終わらせてしまいました。
太平洋戦争の延べ動員数は1400万人といわれていますが、
当時の日本の人口は7000万人しかいません。
うち半分は女性で、残りの男性の半分が高齢者と子供です。
つまり、ある程度体力のある成人男性は1700万人程度しかいないにもかかわらず、
その半分近くを徴兵してしまったわけです。


バブルは、時代は異なっても、基本的なメカニズムは同じであり、
どの程度で崩壊するのかという限界値もほぼ共通です。


バブルが崩壊する水準というのは、ほぼ一致しているのです。
総融資残高がGDPの1.5倍から1.6倍になってくると危ないわけです。


日本のバブルが崩壊した1991年前後の
国内の総融資残高(金融機関とノンバンクを合わせた数字)は
約785兆円でした。
当時のGDPは474兆円なので、
融資残高はGDPの1.65倍の規模に達していたことになります。


一方米国のリーマンショックは、2008年ですが、
その直前の米国における総融資残高は約22兆ドル、
当時の米国のGDPは14.5兆ドルですから、
1.51倍の規模ということになります。


バブルは、単なる「お金の移動」
マネーストックの水準を越えて株価が上昇している時には、
他の資産から流出していて、逆に、株価が下落している時には、
全体のバランスを取るために他の資産にマネーが流入してるということになります。


1980年代は株式の比率が大きく上昇しています。
また土地の割合も一貫して増え続けていました。
やはりこの時代は株と不動産によるバブルだったことがわかります。
一方、バブル崩壊後は一貫して債券(国債)の比率が上昇しています。
不動産の比率は低下の一途を辿っています。
バブルが単なるお金の移動なのだとすると、
今現在は、完全に国債バブルの真っ最中ということになるわけです。


日本の国債がバブルなのだとすると、
その継続期間(約25年)を考えれば、
そのバブルはいつ崩壊してもおかしくありません。


25年続いた国債バブルが崩壊するということになると、
債券価格が下落しますから、それは金利の上昇ということになります。
金利が上昇すると、日本政府の利払い負担が増加しますから、
日本の財政はさらに苦しくなることが予想されます。
一方、金利の上昇はインフレを促し、その動きは円安につながっていきます。
私達投資家にとって重要なのは、国債の下落そのものより、
そのマネーが次にどの商品に向かうのかという点なのです。


株価の上昇が始まるのは、市場シェアが10%台の時となっています。
ある技術を有望と判断した時には、
少なくとも市場シェアが10%台のタイミングを狙い、
思いきって投資をするのが最も合理的なようです。


今後は、どういった分野のイノベーションが
投資対象として有望となってくるのでしょうか?
正確に予測するのは難しいのですが、
現時点においてはロボット技術と人工知能の技術が、
大きなインパクトを市場にもたらしそうです。
イノベーションを投資に活用したいと思っている投資家にとっては、
この分野は要注目と言えそうです。


米国のシェールガス開発の進展によって、
今後石油は供給過剰となる。
長期的に価格は下落す可能性が高い。


長期投資=低リスクではない。
長期はバラツキが小さくなるだけ。
資産が減ってしまうことをリスクと考えるなら、
長期投資にしたからといってリスクが減るわけではありません。


世の中では、経常赤字=経済危機といった図式で
語られることが多いのですが、必ずしもそうではありません。
米国のように経常収支の赤字が長く続いた国でも、
順調に経済が成長するケースはたくさんあります。
歴史的にいえば、経済が成熟してきた先進国は、多くの場合、
経常収支が赤字になる傾向が強くなっています。


製造業は、多くの国がそうであるように、
いずれ新興国にキャッチアップされ、
徐々に競争力を失っていきます。


ドル円相場は、1971年のニクソン・ショック以降多少の上下変動はありましたが、
40年間、一貫して円高ドル安が続いてきました。
この大きな流が変わる可能性が出てきたわけです。
政策的な要素も後押ししています。
日本は現在、基本的スタンスは緩和的です。
一方、米国は量的緩和を終了しており、
金利をどのようなタイミングで上げていくのかという点にシフトしています。
大きな流れとしては円安トレンドに転換したと考える方が自然でしょう。


長期的には、為替と物価との連動性は極めて高く、
日本の物価が本格的に上昇してきた場合、
円安傾向はさらに顕著になってくるはずである。






「愚者は経験に学び、
賢者は歴史に学ぶ。」
(オットー・フォン・ビスマルク)


何しか、カッコいい大人になろう。