2017年12月7日木曜日

【読書】心を開かせる技術―AV女優から元赤軍派議長まで

「心を開かせる技術―AV女優から元赤軍派議長まで / 本橋 信宏」
を読みました。

「どうしたら、心を開いてくれるか。」
こんな疑問を社会人生活をしていたら何度も考えることがあります。
そんな時にふと手に取った本です。
技術というと つい、テクニックを想像しがちですが、
やはり、聞く姿勢というのが最も大事だなと、
心構えに落ち着くわけです。

心を開かせることに関することだけでなく、
自分のために気になった部分を残しておきます。





すでに20年前、インタビューした彼女たちの
不安定な日々を掘り下げていくと、
幼いころの親子関係にあったことを、みずから告白していました。
アダルトチルドレンに見受けられる共依存の問題も、告白しています。
共依存は、自分の問題に向き合うよりも、
恋人や友人のために尽くすことであり、
問題を抱えた男ばかり愛するようになることです。
アダルトチルドレンによく見られる特徴で、
面倒を見すぎる女と問題ばかりおこす男、
の依存的組み合わせになります。




彼女たちが好む男というのも、
世間一般の傾向と異なっています。
世間では、二昔前には、
いわゆる3高というわかりやすい基準がありました。
ところがAV女優たちにとって、
恋人の憧れの職業は、鳶職、土木作業員、大工、トラック運転手、
といった肉体労働系が圧倒的に人気があり、
また実際に付き合っています。
これは風俗嬢にも同じことが言えます。
AV女優や風俗嬢が
「わたしの彼氏は西新宿の外資系投資顧問会社に勤めてるの」
というケースはゼロです。




ほとんどの女性に通用するアプローチがあります。
それは何かというと“笑い”です。
笑う行為には、
心を解きほぐすすぐれた作用があります。
緊張感溢れる現場でも、たった一言によって笑いが起こり、
場がなごむことがあります。
特に若い女性は、最も笑いに飢えている世代です。
彼女たちにとって、笑うことは、
全身の筋肉と緊張がほぐれる一種の性的快楽につながるのでしょう。
だから、若い女性たちにモテる男、というのは、笑いをとれる男です。





あらゆる女性に言えることですが、
着ている服や時計、アクセサリーはどれか1点必ず話題に上がらせることです。
女性がおしゃれをしてきたポイントを称賛しないのは、
男の値打ちを下げることでしかない。





肉体の傷跡はあえて聞くべきである。
おしゃれを誉めるだけでは相手を理解できません。
その逆に、相手が聞かれたくないこともあえて聞き出す、
タフな精神力も必要になってきます。
人間にとって一番つらいことは、存在を無視されることでしょう。
無視されることは、生命を否定されることに等しいものです。
だから相手と話をするときは、どんなものでも尋ねてみるべきではないでしょうか。
聞かないことで大切なことを聞き逃すよりも、
あえて聞いてみるべきではないでしょうか。もしも聞いてから相手が気分を害した 
ようだったら、素直にあやまればいいのだから。





AV女優や風俗嬢は、マゾ的な性向を持っているものです。
堕ちていく快感、のようなものを感じ取っています。
マゾの最大の快感は、自分に加虐的な行為がおこなわれることですが、
それは自分に注目してもらいたいことの裏返しでもあります。
だから、彼女たちに様々な質問を投げかけることは、
彼女たちの「わたしを見て」という根源的な欲求を満たしているわけです。




やはり無視されることが人間にとって一番つらいことであり、
その対極にあるのが、
相手が自分のことを注目してくれる行為でもあるマゾ的プレイなのです。





皮肉なもので、幼いころ、深刻な性的被害にあった少女は、
成長すると性的な仕事に就きやすくなる、という傾向があるようです。





繊細な話を聞き出すには、
緊張感を与える対面型の座り方ではなく、
緊張感をほぐすL字型に座ることがポイントになります。



カラオケボックスは重要な話を聞き出す場所として、
願ってもない空間です。




他人の半生が気になる私は、
誰よりも一生懸命に話を聞くし、
合間に笑いを持ち込み、
退屈させないようにして、
さらに、できれば彼女たちと恋愛関係にならないか、
などと想像しながら話を聞いています。



マインドコントロールが言葉によって強固な力を持つように、
人間の意志は言葉によって成り立っています。
マインドコントロールをうまく利用すれば、
自分を鼓舞するときにうってつけになります。

実際に私は数多くの人々から話を聞いてきましたが、
成功した人物ほど、独特の話法を持っていることに気づかされます。
言葉によって意志が確固たるものになり、
仕事でも恋愛でも成功していくのでしょう。
その結果、個性的な言葉遣いが身に付いていくのでしょう。

言葉遣いが明るく、おしゃべりだと、陽気な人、と言われ、
理論的な言葉遣いだと、頭脳明晰な人、と言われるように、
個性とは、その人の使う言葉によって大半が決まるものです。




村西とおる流応酬話法のポイント
①最大の問題点を後回しにすることなく、冒頭に持っていく。
②問題点を逆にメリットに変えてしまう。
③自己の存在を刺激する。
④相手を徹底して誉め称える。
⑤ユーモアを忘れない。
⑥運命的な縁を感じさせる。


代々木監督は、ファインダー越しの男女に向けて、
様々なことを言葉にするのですが、
この時の発言録が新鮮で、やけに心を打つのです。
例えばこんなふうな言葉です。
「自分が心のなかでつくったものは自分でしか解決できない」
「星は見えてるんだけど見ていない。
生きていくことは星が見えていることに気づくこと」
「対象を否定的にとらえてしまうと、
否定したものにエネルギーを与えて肥大化させてしまう」
「“男は獣”と子どもに言いつづけると、
育った子どもはそんな男としか出会わなくなる。
人間は意味づけしたものしか認識できないから」



インタビュー現場ですんなりと話が弾んだ時というのは、
原稿にすると以外とのっぺりしていて面白みがないものです。
逆に、インタビュー現場でトラブった場合、そのときは大変ですが、
原稿にすると波乱に富んだ面白いものになる場合が多いものです。



八兵衛刑事の取り調べテープを聴いたことがありますが、
全体的に説得調で、変化球を使わず、
直球勝負のような相手にそのものずばり聞こうとする話し方です。
私には八兵衛の落としの秘訣は、入念な下調べの他にもうひとつあると思います。
それは、八兵衛ほど容疑者を話をよく聞いた刑事はいないのではないかということです。
人は無視されることが一番つらいものです。
真剣に相手の話を聞く八兵衛に、被害者はいつしかこの男にすべてを話そうと、
心を開くのではないでしょうか。



取材テクニックのひとつとして「相手を怒らせる」という手法がありました。
怒ったときこそ、人間の本音が出る、というわけですが、
二昔前のジャーナリズムには、よくこの手の激論が載ったものです。



「抗議に来る人間からは、どこまでも話を聞いてやること」
この教えを守り、2時間でも3時間でも抗議を聞いてみるのが
私のモットーになりました。



人間は墓場まで秘密を持っていくことはなかなか不可能です。
言葉を持っている生き物ゆえに、
いつか人に話してしまいたい欲求にかられるものです。
誰かがその欲求をうまくすくい取ってやると、
衝撃の告白が飛び出してくるのです。



完全に相手を論破するのではなく、逃げ道を与えたり、
釈明の余地を残しておくのは、論争において必要なことでもあります。
勝ち負けは読者や視聴者が決めてくれるのですから。
それに、完膚なきまで叩きのめすよりも、いくらか釈明の余地を与えてやるほうが、
後になって、向こうからこちらの軍門に下る、
あるいはこちらのシンパになることもあります。
相手のプライドは傷つけないで論争したいものです。




無口な男がモテたためしはいまだかつて見たことがありません。
モテる男は、話題が豊富、話し好きです。
一見クールに見えても女性と一緒にいるときは、相当しゃべっているものです。
お笑い芸人がモテるのも、話し好きで女を飽きさせないからです。




緊張したら私は目の前にいる偉そうな男が
どんな顔をして女性の股間に顔を埋めているのか
想像してみることにしています。
緊張したらクンニ。これは効きます。









「自分の失敗談を話すと、
相手の表情が緩むのね。」
(田原 総一朗)

なんしか、カッコいい大人になろう。