2016年5月5日木曜日

【読書】未来に先回りする思考法

「未来に先回りする思考法 / 佐藤 航陽」
を読みました。


素晴らしい良書です。
未来をきちんとみんな予測できるわけではない。
なんか勇気が出ました。
そして、感情というフィルタを一旦外して
客観的に判断せよってところがすごく胸に響きました。
必読の書ですね。
自分のために残しておきます。




すべてのテクノロジーは、
何らかの形で人間の持つ機能を拡張してきました。


コンピューターやインターネットは、
電力や蒸気とは根本的にまったく違う方向に
人間の機能を拡張するテクノロジーです。
その本質は「知性の拡張」にあります。



私たちも何かを実行する時は、
①学習
②パターン認識
③予想
④実行
という4つのプロセスを通過しています。


社会がここ数十年で人工知能を軸に劇的に変化することは
間違いありません
それらを「点」で捉えるのではなく、
①電気がコンピューターを生み、
②コンピューターがインターネットにより接続され、
③インターネットが社会の隅々にまで浸透しIoTが進み、
④発生した膨大なデータはAIに集約され、
⑤自律的に判断するAIがデータを分析し判断をくだすようになり、
⑥あらゆる物体が知性を獲得する
というひとつの線で捉えていけば、その本質は、少し理解しやすくなります。



すでにディズニーでは、
ユーザーの「感動のパターン」がノウハウとして蓄積されており、
そのフレームワークに沿って映画が作られているという話を、
聞いたことがあります。


使用している言語や属している文化がまったく異なるにも関わらず、
ヘビーユーザーや離脱するユーザーのパターンはほとんど同じだったりします。
人の目で見ると何の共通点もない事象も、
データという形で分析してみると驚くほどシンプルな法則性に基づいています。
人間は、思っている以上にパターンの塊なのです。


「どうして人口800万人の国(イスラエル)がこんなにうまく、
継続的にイノベーションを生み出せるのか?」
と聞いてみたことがあります。するととてもシンプルな答えが返ってきました。
「Necessity(必要性)」だと。
中東には政治的な緊張関係があり、周辺国とも争いが絶えません。
そのため政府・民間・大学・軍など全員が協力して収入を確保し、
アメリカをはじめとする諸外国への影響力を保ち続けなければ、
六合として危機に陥ってしまいます。
つまり、イノベーションを起こすための必要性がどこよりも切実に存在しているのです。


なぜ世界人口の1%にすぎないユダヤ人が、
ノーベル賞受賞者の20%を占めるのか。
彼らの賢さは、数千年の長い迫害から生き延びるために
必然的に身につけざるをえなかった「知恵」なのです。


国家ができた理由を一言で言えば、
「生存率をあげること」につきるでしょう。
群れをなす動物と同様に、集団で行動することで、
人間は生き残る確率が上がります。


GoogleやAmazonは、すでに純粋な民間企業とはいえない側面を
持ちはじめています。
結論からいえば、各国政府が警戒しているのは、
GoogleやAmazonという単体での企業ではありません。
背後に存在するアメリカです。


2014年のアメリカの中間選挙で
最も政治献金をしていた企業はGoogleでした。
共和党と民主党の多くの候補者は、
IT企業からの献金によって国政選挙に参加しています。
この点にGoogleの別の顔が見え隠れしています。


この観点から見れば、中国の取った戦略や、
欧州や日本の警戒態勢の意図も見えてきます。
これは、単なる国家と企業との経済的な摩擦ではありません。
その背後には、アメリカと各国との代理戦争という構図が隠れています。


「他者からの注目」という貨幣換算が難しい価値を、
いつでも好きなタイミングで人、資本、そして情報という
別の価値に転換することができるのです。


ネットの普及で様々な価値がデータとして認識されることで、
それらのデータ自体が、まるで通貨のような動きをしはじめています。


人間は時代の経過とともに様々なことを選択できるようになってきました。
封建社会や、より原始的な社会において、私たちは職業も、
場合によっては結婚相手さえも自由に選ぶことができませんでした。
暮らす場所も選択でませんでした。
それに比べ、今は職業も結婚相手も暮らす土地も、
自由に選択できる人の数が増えています。
ただ、まだ経済システムについては、
今は資本主義ほぼひとつしか選択肢はありません。


経済システムを自由に選択できる未来は
今の社会で「資本」の恩恵を受けている一割の人には
あまり到来してほしくないものでしょう。
一方、そうでない九割の人にとっては待ち遠しいものだと思います。
資本主義と民主主義からなる今の社会は、
王様や貴族などの特権階級がすべてを決める封建社会に比べると
素晴らしい世界だと思っています。


産業革命以降、労働時間は右肩上がりに減っています。
たった30年前、まだ日本は土曜日も休日ではありませんでした。
私たちは、テクノロジーと経済の進歩によって
労働から解放されていっているともいえるのです。
全体としての労働時間が減る一方、生活は確実に豊かになっています。


もう少し範囲を広げ数千年のスパンで考えれば、
人間の人生のほとんどの時間を苦しい労働に費やしている
最近の状態のほうが、異常な状態といえるでしょう。


労働の対価として受け取った賃金で生活するという図式が成立していたのは、
産業革命以後の資本主義が普及したこの300年間のみです。


猿を人に進化させたきっかけは親指の存在だったといいます。
親指があったからこそ人間は複雑な道具を使いこなすようになり、
狩りでの生存確率が高まり、急激に頭数を増やすことに成功しました。


創業者たちでさえすべての市場を正しく把握することは難しくなってきます。
ネットの市場は変化が速いので、トップが意思決定をひとつでも間違えば、
途端に時代に乗り遅れるリスクがあります。


ナシーム・ニコラス・タレブは、
投資について、資金の85~90%を確実性の高いものに投資し、
残りの10~15%はあえて投機的な不確実性の高いものに投資して
バランスを取れと語っています。


人類にとって最大の脅威といえばやはり戦争でしょう。
過去数千年においても最も人の命を奪っているものは戦争と疫病です。
これまでの歴史を振り返れば、皮肉にも、技術の進歩は戦争によってもたらされてきました。
生死がかかっている戦争では、最も強い「必要性」が発生し、
結果的に技術は飛躍的に進歩します。


米オーリン大学のアレン・B・ダウニー教授は、
米国の宗教者の割合を調査し、
無宗教者の増加とネット利用者の増加には関連性があると示唆しました。


本当に大きな成果を上げたいのであれば、
真っ先に考えなければならないのは今の自分が進んでいる道は
「そもそも本当に進むべき道なのかどうか」です。


時代の急速な変化によって、かつて自分が選んだ道が
最適解ではなくなっているということはたびたび起こります。


物事は、惰性で進みがちです。
「どうすれば現状のやり方を効率化できるか」と考える前に、
「今も本当にそれをやる価値があるのか」を
優先して考える癖をつけることをお勧めします。


人間の感情は、あるところを叩くと決まった音が鳴る楽器のようです。
嫌なことを言われれば落ち込み、褒められれば嬉しくなります。
いつも、誰かの行動に共鳴し、影響を受けています。


自分の目の前の現実がどのように動いているか、
そのメカニズムを本当に理解したいのであれば、
この感情というフィルタを一旦無視しなければなりません。
客観的なデータとして物事を見つめる姿勢が必要です。


物事がうまく行かない場合、
パターンを認識するために必要な試行回数が足りてない場合がほとんどです。
サンプルが必要だと頭ではわかりながらも、
感情的な理由から十分な数が集まる前にあきらめてしまう。
目標の達成を阻んでいるのは、実は人間の感情というフィルタだったりします。


一回一回の成否に一喜一憂せずに、
パターンと確率が認識できるまで「実験」だと割りきって量をこなすことが重要です。


一番を目指しているようでは、その時点で「永遠の二番手」なのかもしれません。
プレイヤーは、逆立ちしてもルールそのものにはかなわないからです。
本当に一番になりたいのなら、自分自身がルールをつくり、
誰もいないフィールドに飛びこんでください。


周囲の人にもチャンスとわかるようなタイミングでは遅いのです。


Be a doer,not a talker.
評論家になるな、実践者たれ



現代は「行動する人」が多くを得る時代です。






なんしか、カッコいい大人になろう。


「一頭の羊に率いられた百頭の狼の群れは、
一頭の狼に率いられた羊の群れに敗れる」
(ナポレオン)