2021年3月11日木曜日

【読書】ほめるのをやめよう リーダーシップの誤解

 「ほめるのをやめよう リーダーシップの誤解 / 岸見一郎」

を読みました。


褒めるのが、下手な私が藁にもすがる思いで手に取った本書。

褒めるのがなぜ良くないのか、褒めることによる弊害を知ることで

著者が言いたかったことを知り深いと思うばかりです。

管理職の皆さんにとってこれは、本当に良書です。

(いつものように自分のために残しておきます)


組織を変えるためには、

部下よりも、まず自分が何をしていけるかを考え、

その上で、部下に援助を求められる人こそ

リーダーにふさわしいといえます。


リーダーと部下は「対等」であり、

リーダーは「力」で部下を率いるのではなく

「言葉」によって協力関係を築くことを目指します。


どんな仕事でも

部下に任せることにはリスクが伴いますが、

部下を信頼しなければなりません。

その上、部下が失敗したら、

その責任は上司が取らなければならないのです。


どうしたら部下に協力してもらえるリーダーに

なれるのでしょうか。

一言でいえば、尊敬されることです。

問題は、この尊敬は強制できないということです。


アドラーが

「自分に価値があると思えるときにだけ、勇気を持てる」

といっています。

部下を励ますつもりで「君には力があるのだから頑張れ」と言えば、

いよいよ頑張らなくなります。

上司はそのような部下に折に触れて「ありがとう」と言いましょう。


「あるべき」部下ではなく、

(現に)「ある」部下、ありのままの部下を

認めるところからはじめるしかありません。


部下の行動ではなく、存在に注目し、存在を承認する。

これはフロムのいう意味で「尊敬」するということです。


上司は職場の中にある競争関係を根絶しなければなりません。

各人が対等な存在として協力し合い、

全体としてプラスを目指さなければなりません。

具体的には、貢献に注目し、協力に対して

「ありがとう」ということです。


時に部下に意見を求めてもいいということです。

どうしていいかわからない時は

素直に「わからない」といわなければなりません。


働かなければ生きていくことができないというのは本当です。

しかし、働くために生きているのではないことも本当です。


上司が部下を叱るから、自分の考えで動いて上司から叱られるくらいなら、

自分では何も考えないで上司から言われた通りにしようと考えるのです。

時には失敗しても、自分の判断で動ける部下を育てることが上司の仕事です。


大事な点は、指揮者は自分では音を出すことはできないということです。

会社の上司も基本的には指揮者と同じで、自分では動くことができません。


部下が上司と異なる考えを述べることができるのであれば、

組織は健全に機能しているといえます。


リーダーは独善的であってはいけないのです。

つまり、部下の意見にしっかりと耳を傾けるということです。


誰もが初めから優れたリーダーであるわけないのですから

「不完全である勇気」を持ちましょう。

次に、他の人と比べるのをやめることです。

ありのままの自分を受け入れるしかないのです。

自分は自分でしかないのですから、

他の人と比べることには何の意味もありません。


なぜ働くのかといえば幸福であるためであり、

誰かに貢献していると感じられると幸福を感じることができます。


人が働くのは幸福であるためです。

身を粉にして働いているのに幸福を感じられないのであれば、

働き方を見直す必要があります。


どうすれば部下を操れるかということばかり考える人が必ず出てきます。

まず、部下を変えようとするのではなく、

自分にできることがないかを考えることです。


「機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、

幸福はつねに外に現れる」三木清


リーダーが不機嫌であれば部下は敵いません。

他方、機嫌がよい人を見ればまわりの人も嬉しくなります。


リーダーは誰より忙しいでしょうが、

リーダーこそ丁寧な対応を率先してするべきです。


自分のことについては、

自分でできることは自分でしなければなりません。

リーダーだからといって、

自分でできることまで部下にやらせようとするのは間違いです。


自分でできないことであれば、

リーダーであっても、

まわりの人に援助を求めなければなりません。

自分ができないことなのに自分でやろうとすると、

まわりの人が迷惑をすることになります。


部下の才能を伸ばすように努めなければ

会社は伸びないでしょう。


部下のアイデアを取り上げないこと以上に問題なのは、

部下のアイデアを上司が横取りしてしまうことです。


出世こそ人生の大事と説き、

昇進などの見返りをちらつかせると、

部下は上司の言いなりになってしまいます。


部下の失敗は、上司の指導に問題があります。

それを棚上げにして部下を責めるのはおかしいのです。


「人にどんな印象を与えるか、

他の人が自分をどう見るかばかり考えていると、

行動の自由が著しく妨げられることになる」アドラー


決めるのが怖い。

まず、責任を取ることを恐れないことです。

次に早急に決断することです。

危急の場合、リーダーは的確な決断をしなければなりません。

批判を真摯に受け止め、

すべからく「途中で気を変える」ことが必要です。


変化を恐れるな、

この世界の大きな変化に適応して生きていくしかありません。

変化に適応していくためには

目標そのものを変えなければなりません。


「課題の分離」

課題をきちんと分ける。

どう評価されるかは、自分ではどうすることもできないのだから、

そのことについては相手に任せるよりほかありません。


やはり対人関係のトラブルを回避する一番簡単な方法は、

人の課題であればそこに踏み込まない。それに徹するしかありません。


自分に価値があると思える時にだけ、勇気が持てる。

アドラー


叱ると、たしかに即効性はあります。

きつく叱るとすぐやめる。すぐやめるのですが、

同じことをきっと何度も繰り返す。

つまり、即効性はあっても有効性はないのです。


叱っても意味がありません。

まして、親が子どものこぼしたミルクを拭いてしまってはまったく意味がない。

子どもは「この親は自分が何をしても、尻拭いをしてくれる」と学んでしまう。


では、叱る代わりに何をすればいいのか。

具体的にいうと、お願いをするのです。


普段から感情的にならないということは、

大事なことだと私は思っています。


部下のほうは、部下のほうで叱られることに目的があります。

仕事では認められないけれど、

せめて叱られるという形で上司から注目されたいと思っているからです。

無視されるより、いっそ叱られてでも注目を浴びたいのです。

叱られることのもう一つの目的は、責任逃れです。


叱ることもそうですが、

ほめることも、実は対人関係の構えが横ではない、

縦関係なのです。


誰しも、対人関係の下に置かれることを好みません。

だから、部下たちをほめるのはおかしいのです。

それは「あなたは無能だけど、よくできたじゃないか、すごいね」

という意味になって、

対人関係の構えが縦、上下関係になるからです。


ほめずに、どういう言葉をかければいいかというと、

「ありがとう」と言えばいいのです。

「ありがとう」という言葉をかけるのにはわけがあります。

それはアドラーが

「自分が貢献したと感じられる時に、自分に価値があると思える」

と言っているからです。


承認欲求は、貢献感があれば消えます。

我々は承認されることを求めるという意味で、

人に期待してしまう。

ありがたいといわれるのを待ってしまう。

それを期待してしまうと、がっかりするでしょう。


部下に対して勇気を持てる援助をして、

仕事に積極的に取り組む。

あるいは対人関係を恐れずに、

対人関係の中に入っていく勇気を持ってほしいと思います。

部下たちは

「あの上司は自分が直面する、自分が取り組まなければいけない課題から

決して逃げないでいる」

と思うでしょう。

そうした姿を見た時に、

その上司の勇気が部下に伝染していくのです。


だから、部下をどうこうではなく、

まず自分自身が課題に直面する勇気を持っているということを、

身をもって示すことでしか

組織は変わらないし、部下たちも変わらないだろうと思います。


彼は会社を辞める決意をしたもうひとつの理由として、

「先輩や上司を見ていても少しも幸せそうではないから」

と話していました。

これが決定打だったようです。


思いは伝えないといけませんが、

独りよがりになってはいけません。

必ず確認を取ることです。

今、自分が話したことが

どのくらい受け止められているかを確認しないといけません。


「でも」という人は、

アドラーの言い方では劣等コンプレックスがあるということになります。


上司が全部やろうと思わないことです。

親子関係でも同じです。

「子どもが問題行動を起こしたら、どうしたらいいでしょうか」

と助言を求められた時、

私は「それはもう子どもと相談するしかない」と言います。

この回答には皆さん驚かれます。


子どもに「親である私たちもどうしていいかわからないけれども、

どうしたらいいと思う?」と聞けばいい話です。


「こういうことをしたけれど、どう受け止めてくれた?」

とやはり聞かないといけないですね。


「皆さん」と呼び掛けたら駄目なのです。

一人ひとりに話していると思って話さないといけません。


彼がしたことといえば、選手のプレーに一言、声をかけるだけです。

「今のはよかった」

それだけです。

それを3年続けたら、

なんとライスボウルで勝って日本一のチームになりました。

「今のはよかった」は、ほめ言葉ではありません。

選手のプレーそのものを評価する言葉です。


「ほめて、ほめて」という社員には、

私はあなたを家来にはしたくない、子分にしたくない、

だからほめませんと伝えるといいでしょう。


リーダーには、もちろん仕事をするうえで有能であることも必要ですが、

「あんな風に生きれたらいいな」というモデルにならないといけないと思います。


何か「あの人はすごく仕事を楽しそうにやっているな」と部下が思ったら、

あの人についていこう思うはずです。


自分の人生を生き始めたら、

それに反対する人は必ず出てきます。


自分の回りを見回して自分を嫌う人がいるとすれば、

それは自分が自由に生きていることの証しであり、

自分が自由に自分の人生を生きるためには

それぐらいのことは支払わなければならない代償だと

思うしかありません。


まず不完全であることを認めることです。

不完全である勇気です。

自分には不安がある、とても心配だということを

もし必要であれば誰かに言えることが大事です。


リーダーは非常に孤独です。

孤立してはいけないと思うので、

非常に孤独なのだということを言える仲間を見つけないといけません。

本音で話ができる友人を見つけることが大事です。


この人は絶対に私の話を遮らないとか、

批判しないというふうに思ってもらえたら、

多くの人が心を開いてくれます。


話を聞く立場にあるときは、

あまり口を挟まない方がいいかもしれません。


「あなたはそういう風に考えているのですね」くらいなら、

オーケーかもしれません。

話す内容に対して、ことさらコメントしない。

コメントをする時は「私の意見を言ってもいいですか」

と確認をすることです。

そうたずねて

「話をしてもいい、コメントをしてもいい」

と同意が得られたら、

「これは私の意見ですが」

と自分の意見であることを表明した上で話す。


人から評価されないと

自分のやっていることに価値がないと思ってしまうのは、

賞罰教育の弊害です。

叱られて育った人は人に叱られないように、

ほめて育った人はほめられるために自分の行動を決めます。


すぐではないかもしれないけれど、

やがて自分の課題を、自分で解決する力があると思って見守るしかありません。

見守るというのは、放任とは違います。

必要であればいつでも関われる状態で、あえて手出し口出しをしない。

そういう関係を保ったまま少し離れて見るということです。


あなたが生きていることが他人に貢献しているのだという意味の言葉を伝える、

それが光を与えることです。

そうすれば闇は消えてしまいます。


上司が部下に期待しても

それを満たしてくれなかった時にがっかりするというか

そういう社員を受け入れたくないと思うことはあるでしょう。

これは非常に悔しいかもしれませんが、

自分の指導が足りないのではないかと思わないと、

上司の期待を満たせない部下は伸びないだろうと思います。


指揮者が替わるとまったく音楽が変わります。

楽団員が替わっても変わりませんが、

指揮者が替わると音楽が全然違う。


人間はすごく弱いので、

誰かに認めてもらえないと自分の価値を認められなくなってしまう。

もちろん誰かから適切な評価をされたら嬉しいわけで、

それまで否定はしません。

けれども、誰が何と言おうとそういうこととは関係なしに、

自分がやり遂げた仕事に価値があると思えることが大事です。

それをアドラーは「自立」という言葉で話しています。


「あなたがリングで対戦している時は観客のこと、

スポンサーのこと、テレビで観戦している人のことはまったく考えなくていい。

しかも結果も関係ない。

あなたがリングで果敢に戦っている姿を見て、

子どもたちは夢を持ち、大人は希望を与えられる、

それがあなたの貢献になる。

だから結果は関係ない


「ありがとう」と取りあえず言ってください、

顔はひきつっても。それぐらいパワフルな言葉です。


「勇気は伝染する」「臆病も伝染する」

リーダーの勇気は部下に伝染し、

職場を変えるきっかけになります。

リーダーは勇者のモデルなのです。




「自分に価値があると思える時にだけ、
勇気が持てる。」
(アドラー)


なんしか、カッコいい大人になろう。


noteやってます。興味のある方は是非どうぞ。