2018年6月7日木曜日

【人心掌握術】ヒトラーに学ぶ人を引き付けるスピーチ術

狂気の独裁者アドルフ・ヒトラー。
年月が流れても、彼の犯した大罪は決して許される事ではありません。
この記事は、ヒトラーを褒め称えるために書いたわけではありません。
戦争は、良くないことです。彼は、犯罪者です。
ホロコーストなどをはじめとする彼の行った所業は、決して許されざるものです。

しかし、彼の演説家としての才能やテクニックには、特筆すべきことありました。
彼には、「演説」という武器がありました。
「言葉」に「演出」と「心理学を応用したテクニック」を加え
演説で一世風靡したのです。


それでは、
そのヒトラーのスピーチ術を見てみましょう。


まず、注目すべきは、
ヒトラーは、スピーチをはじめる際に、
騒がしい聴衆が静かになるまで、沈黙を続けます。
聴衆が聞く姿勢を持つまでは、壇上で沈黙を続けます。
何分間でも沈黙を続けます。


そうして、沈黙の力を活用し聴衆の心を引き付け、
一代で頂点に上り詰めた、稀代の演説家ヒトラーの
演説の才能は、壇上でいかんなく発揮されました。


日ごろから、様々な角度からの自分をカメラで撮影させたり、
全身を鏡に映してジェスチャーやポーズを研究し
自分の演説をいかに聴衆に魅せるか意識していたのです。


また、オペラ歌手に発声の方法を教わり、
声のトーンを変えていたとも言われています。


ヒトラーは、しばしば飛行機で演説会場に乗り付けています、
これも、移動手段としてでなく演出の一部であった可能性が高いでしょう。


計算された、演出がされていたことは間違いありません。
計算というより、計算しつくされた演出をしていたことでしょう。
そして、練習に練習を重ねていたことでしょう。



演説の時間帯も、わざわざ夜を選んでいたのです。
労働を終え、疲労で理性や思考の鈍る夜を選び、薄暗い会場にかがり火をを灯し、
ミステリアスな雰囲気を演出し、サーチライトが夜空を照らし出し、
ハーケンクロイツの旗が風にたなびく中、
ワーグナーの雄大な音楽を大音量で響き渡らせ、
集まった聴衆の感情を高ぶらせました。
これらもすべて、演出です。


そんな中、当のヒトラーは、
わざと予定時間より遅れて到着します。


ヒトラーを待ち続ける聴衆の期待感と苛立ちがピークに達した時、
スポットライトに照らし出されヒトラーが登場します。
まるで、ロックスターの様です。
このムードに集まった聴衆は、酔いしれたことでしょう。

そして、聴衆は口々に「ハイル・ヒトラー」と叫ぶのです。
騒がしさもピークになったところで
冒頭の聴衆が静かになるまでヒトラーは沈黙を続けるのです。
そうして演説前に聴衆の感情を大きく揺さぶるのです。


そして、静まり返った聴衆を前に意外なほど紳士的に冷静に話し始めるのです。
演説の中盤に、もちろん感情的に話す意図的に見せ場も作るのです。
こうして、演説中も話し方でも聴衆の感情を大きく揺さぶり続けるのです。


民衆が熱狂したら少し黙って落ち着いた声で話し、緩急を付けるのです。
時に、激しく身振り手振りを入れますが、そうでない時は紳士的な態度で話します。
抑揚をつけて演説にメリハリをつけ、時に聴衆をけなし、時に大げさに持ち上げることで、
最後まで聴衆の感情を大きく揺さぶり続けるのです。


ヒトラーはよく聴衆を大げさに褒めました。
ただ褒めるのではなく、必ず一度相手を落としてから持ち上げる手法をとりました。
こういった揺さぶりは、なお聴衆を陶酔させたのでしょう。


そして、特に演説のクライマックスは、感情的な言葉を大げさに伝えます。


ナチスドイツは、若者の憧れの対象になるための方法を意識的に取りました。
若者に憧れを抱かせるために、ドイツ軍の制服をカッコよくしました。

戦争犯罪の有無や勝敗は別として、
純粋に世界の軍服の中でずば抜けてカッコいいと評価されているのが
第2次世界大戦中のナチス・ドイツの制服です。


そのデザインをしたのが、HUGO BOSS(ヒューゴ・ボス)だと言われています。
憧れの存在に自分らで仕立てていったのです。
あまり思慮深くない若者たちが支持をしてくれることを分かっていたのです。


かのナポレオン・ボナパルトは言いました。
「人はその制服どおりの人間になる」
それだけ、制服の持つ力は大きなものがあります。


歴史的な背景として、
1919年6月、ヴェルサイユ条約が締結され、
ドイツ共和国の社会民主党政府はそれを受け入れた。
ドイツ国内には、大きな不満が渦巻いていたのです。

右派は、屈辱的な条約は押しつけられたものであると反発し盛んに宣伝していました。
1919年9月、戦争から復員したヒトラーは、軍司令部から与えられた任務として
ミュンヘンの小さな極右の政党だったドイツ労働者党の活動を観察するために参加、
まもなくその指導的役割を務めることとなった。
翌20年2月、演説の才能に自ら気づき、運動にのめり込んでいったのです。
そこでヒトラーはドイツの敗戦と共産主義革命の失敗という混乱の中で、
反共産主義とドイツ国家の再建という確固たる使命感を得たようです。
共産党の指導者の多くがユダヤ人であったところから、
ヒトラーはユダヤ人に対する伝統的な反感を巧みに煽る戦術をとったとされています。


ヒトラーは、みずから
「大衆は理性で判断するよりも、感情や情緒で反応する」
と言っています。
この言葉どおり、マスメディアを巧みに利用して
政治活動を行いました。


ヒトラーは演説の相手をきちんと分析していました。
大衆に向け、単純で短いフレーズを何度も繰り返す手法の演説をしました。
演説などの宣伝活動は、学識あるインテリ相手ではなく、
教養の低い大衆に対して行うべきであることをヒトラーは何度も強調しています。
大衆はなかなか理解せず、すぐに忘れてしまう。
ポイントを絞ってひたすら繰り返すことで大衆の心に響くのだと分析していました。


刺激的で誰もが復唱できるような歯切れのいい単純で短いフレーズを繰り返すことにより、
人の心を突き刺し、心を動かしました。


刺激的な言葉を多用し、
敢えて「耳ざわりのいいことを言わない」のも特徴の一つでした。


そして、あまり「具体的な政策を語らない」という特徴もありました。
政策をを具体的に公表することによって、
違う考えを持った支持者を失望させることを恐れたのです。
そのかわりに、「数字の多用」をし、「最上級表現や極端な形容詞の多用」をしました。
敵と味方を明確にし、二者択一を迫りました。


具体的なことを何ひとつ言わないで、
国民にパラ色のドイツの未来を夢見させることができる才能を
持った男がヒトラーだったのです。


とにかく敵を悪に仕立て上げ、味方は正義であるとして
わかりやすい図式を作り上げました。
ヒトラーは首相就任まで当時の政府を容赦なく罵倒しました。
そうすることで演説者と聴衆にとっての共通の敵を仕立て上げ、
団結力を生み出しました。


そして、ヒトラーは何よりも話す本人が
「熱」を持つ必要があるとも言っています。


また、演説するストーリーの構成も大切な要素でした。


大まかな構成は下記のようなものでした。

「危機的状況の説明」
「目標を立てる」
「揺さぶり」
「敵を作る」
「必殺のキャッチフレーズ」
「努力の果ての明るい未来の提示」


危機的状況の説明というのは、
第一次世界大戦に負けたドイツという国の
今の状況を説明です。

目標とは、
強いドイツを作るという事です。


揺さぶりでは、
今の君たちはクズだと聴衆を罵り、
昔のゲルマン民族は世界一優秀な民族だったと煽り、
我々にはその血が流れており、
ゲルマン魂と彼らの底力を受け継いでいると自尊心をくすぐります。
民衆よ我と共に立ち上がれと一気に気持ちに火を灯したのです。


そして、敵とはユダヤ人です。

第一次世界大戦に負けたドイツの国の人間が敵と考えるのは、
通常ならば戦勝国であるイギリスやフランスのはずでしたが、
ヒトラーはドイツの敗戦と共産主義革命の失敗という混乱の中で、
共産党の指導者の多くがユダヤ人であったところから、
ヒトラーはユダヤ人に対する伝統的な反感を巧みに煽りました。
ユダヤ人という、新しい敵を作り、聴衆に恐怖を植え付け、
演説を聞いている人の結束力を高めました。
ここが、ヒトラーの恐ろしいところです。

必殺のキャッチフレーズは、
「ハイルヒトラー」でした。


最後に、努力の果ての明るい未来を提示するのです。
現在の危機的状況においても、我々は不変の意志と犠牲心によって、
この困難と危機を乗り切るであろう。
この戦争は、ソ連が勝利するのではない。
1500年来ヨーロッパの東の境界を守ってきた大ドイツ帝国、これから先も、
ヨーロッパの先頭に立つ大ドイツ帝国こそが勝利するのである。
と、畳み掛けるのです。


他にも「さくら」をに会場に動員し、演説会場を盛り上げ
聴衆にナチスの影響力とヒトラーの演説に引き込まれる環境を
作ったとされています。

当時のナチスが考え出した技術。
人々を引き付けた演説の環境作りは、
現在コンサートなどで使われている音響技術の基礎となり活かされているそうです。
例えば、演説前に敢えて不快な音を流すなど、
様々な音響による聴衆への効果的な演出をしました。


こういった細かい努力や演出をを惜しまずやることで、
聴衆を引き付け、演説で伝える力を増強させていたのでしょう。



ヒトラーのそういった環境や演出へのこだわりは、
種類は違っても人々を魅了した
スティーブ・ジョブズのスピーチも思い起こさせます。
良きにしろ悪しきにしろ、何か大事を成し遂げる人物は、
細かいところまで抜かりないのです。
そして、努力を惜しまないのです。
神は細部に宿るのです。

そういった、力を平和のために使わなかったことが惜しまれます。














「民衆がものを考えないということは、
支配者にとっては実に幸運なことだ。」
(アドルフ・ヒトラー)


なんしか、カッコいい大人になろう。



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